プリント基板の外注

最近、webから申し込んで、ガーバーデータを電子ファイルで送付するだけ で、小ロットからプリント基板を製造してくれる業者が増えてきました。
私はアキシャル部品やDIP ICの場合は未だにエッチングしたりしていますが、 0.5mmピッチを切るようなICや両面基板となると、感光基板代や手間を考えると、 外注も検討の余地があります。
これまで何社か試すことができたので、ク オリティや使い分けについて書いてみたいと思います。

基本的な発注方法

大抵の場合webシステムから、デザインルール(後述)に従ったガーバーデー タ(後述)を添付して見積り依頼を行い、問題がなければ製造へと進みます。
実装サービスなどを利用する場合は、部品表や配置図、回路図などが必 要な場合がありますので、業者の指定に従います。
決済方法は業者によ りまちまちで、先払いの場合と代引きなどで後払いの場合があります。

ガーバーデータ

必ず用意するのが、ガーバーデータです。業界内でRS-274Xという形式で統 一されています。次のファイルが必要です。

提出するファイル、ファイル名や拡張子などは業者によって 異なるので、指示に合せます。

デザインルール

基板の設計は、大抵mil(1/1000インチ)を基準に行われますが、パターンの 太さや間隔、文字の大きさなどには製作精度の限度があるため、工場で製作可 能なルールというのをまとめて、ユーザーに提供しています。
パターン の最低細さはX mil以上とか、パターン間隔はX mil以上といった具合です。
パターンや間隔が概ね0.3mm(11 mil)未満になってくると、対応している 業者が限られてきたり、追加で課金されるよになります。

必ずCADに設定してチェックを行っておきます。

CAD側で設定を行うと、自動チェックする機能があるので、予めチェックし ておきます。特定のCAD向けのデザインルールファイルを業者で提供している場 合もあります。
一応、業者側でもチェックしてくれますが、その内容は 業者によって差があるようです。
デザインルール通り設計されていなく て、そのまま製造されてしまった商品の不具合は原則的に自己責任になります。
業者側でチェックを念入り行ってくれるのは有難いのですが、それはコ ストに反映されていると考えてよいでしょう。

業者の使い分け

最初は、パターン設計の常識や、業界の標準と業者固有のルールの違いなどが わからず、苦労する場合がありますので、初心者ほど国内メーカーを勧めたい ところですが、実際はコストとの相談になると思います。
一般に問題になるのはリードタイムと流通コストでしょうか。 実際の例を示して、幾つかのメーカーを比較したいと思います。

p-ban.com

小ロット基板製造の草分け的存在です。
exposed padつきのICや0.3mmピッチのコネクタの実装や、納期の問題で、仕事 で使う機会がありました。
抵抗やコンデンサの無償提供や、面付が自分 でやれば無料なのでその点もよいですね。
納期は、何通りかのメニュー から選択でき、最短で中1日でも製造可能。
面つけやメタルマスク開口の テクニック的な部分も丁寧に教えてくれ、至れりつくせりでした。これなら、 失敗は少いだろうなと思います。
基板の種類なども豊富で、高周波基板 などにも対応できそうです。
仕上がりも勿論問題無いですが、価格もか なり高価です。
趣味で数枚つくるような用途には厳しいでしょう。仕事 で、特に条件の厳しい小ロットの基板が欲しい時に使うのが良いと思います。

unicraft

国内メーカーでは比較的安い業者さんです。
今回、無償サンプルの作 成を依頼してみました。
当方のCADの設定不備でスルーホールのレジスト 開口が無くなっていたのですが、すぐに気付いて指摘いただきました。この辺 は流石国内メーカーといった感じ。基板の出来にも勿論問題はありませんでし た。
5/8に発注の5/16納品でしたので、8日掛った事になります。仕様では、 最大9営業日という事でしたので、それよりは早めに仕上がったようです。
シルク印刷は線が少し細い気がしますが、最も鮮明で読み易いと思いま した。
実装サービスもあるので、仕事で機会があれば利用したいと思い ます。

elecrow

中国の製造業者さんです。
レジストやスルーホールが若干ずれている ところが見られます。特にパッドやスルーホールとパターンの接続部分にレジ ストがかかっていない所が散見されます。
また、シルク印刷が粗いので、 40mil程度の文字が限界かもしれません。
しかし、この程度の集積度の基 板なら問題にならないレベルです。価格がとにかく安いので、ホビーユースに は助かりますね。
納期が遅いという点も一般にデメリットとして挙げら れていますが、今回は記録郵便にしたにも関らず10日で届き、思いのほか早い なと思いました。ただし、14日程度覚悟しておくのがセオリーのようです。
納期を短縮したい場合は宅急便にする事もできますが、流通コストが製造 コストと同等以上になってしまうので、低コストではなくなってしまします。
大概、製造時の面付けの切りの良い枚数で、数枚多く予備を付てくれます。 歩留りが悪いぶんは、予備でカバーしてね。ということらしいです。

Fusion PCB

中国のメーカーでシンガポールで製造している模様。2000円程度から作成可 能なようです。
利用した経験はありません。