エアコンプレッサー小屋の製作

エアコンプレッサーの使用頻度も上がってきたので、防音措置を行うことにした。元々、非常に簡易な箱に入れていたので、今回はコンクリート製の小屋をつくってみることにした。これだけでもかなり音は小さくなるはずですが、不十分である場合は吸音材を併用して所望の消音効果を得る予定です。

整地

設置個所を整地する

まず基礎を打つために整地します。一段低くなっているのは、床を地面と同程度の高さにするためとコンパネの枠を支えるためです。

基礎の枠

コンパネ枠の設置

何箇所かに杭を打ち、コンパネの枠を設置します。
正確な長方形になっていること、水平が出ていることが肝要です。
写真では、水平を出すために瓶に水を張ってホースに通したものを利用しています。瓶とホース内の水面は同一になります。

鉄筋

砂利を敷き鉄筋をいれる

引張強度を確保するため、鉄筋を入れます。これで亀裂などを防ぐ事が出来ます。
また、壁面はコンクリートブロックを利用するので、これに通す鉄筋も設置しておきます。これは地震などの時に倒壊しないようにするために必要です。壁面が短いのと、箱型の構造なので、無くても十分な強度が得られるかもしれませんが、念のために入れました。
砂利と一緒に大きな石やコンクリートが入っていますが、特に意味はありません。不要だったのでこの機に埋設しただけです。

基礎

基礎の打設

基礎のコンクリートを打設します。厚みは約8cmです。
コンクリートはセメントと骨材が混ぜてある、ドライコンクリートを13袋使用しました。
別々に買った方がいくらか安いですが、ミキサーを使わずに手作業でこねるため、労力を減らそうとしたことと、中途半端に余っても困るだろうとの判断からです。
実際にはそれでも結構大変だったので、ミキサーを借りてしまった方が良かったかもしれません。なんせ重さにして300kg位あるわけですからね。
水は入らない予定なので、勾配はつけませんでした、わずかな凸凹はできましたが、気にならない程度には平滑に仕上げられたと思います。

背面

背面

側面

側面

コンクリートブロックを積んでいきます。
ブロックは、上下左右のメジにそれぞれ5mmとると、30mmX15mmの寸法になるようにデザインされています。つまりメジの幅は1cmという事です。ただし、角の部分は1cmで計算していると合わなくなるので、注意が必要です。
施工方法としては、際下段を水平に決めておき、15cm上に水糸を張ってそこに合わせて積んでいくのが良いでしょう。水平のメジに15mm位の厚さにモルタルを置いておき、ブロックを載せた後、ゴムハンマーなどで叩いて高さを合わせます。左右方向は水糸が目安になりますが、前後方向も水平になるよう注意が必要です。

ブロックは案外たくさん必要です。この規模でなんと100個使用しています。それでも、1個100円しませんので、価格的にはすべてコンクリートを打つよりは安いです。何より枠が要らないのが大きいですね。
ブロック塀などでは通常ブロックのつなぎ目に鉄筋が入っており、それ以外の穴は充填されていませんが、鉄筋は別の個所に入れたので、1ブロックあたり2ヶ所が充填されています。屋根が重たいのと横筋を入れていないので念のためです。

背面ができた時点で、木枠をつくってそれを取り囲むように積みました。この木枠は屋根の打設時に必要となるもので、完成後は取り除きます。
壁面を作ったあとにコンパネをぶら下げた格好にして、そこに流し込む方法も考えましたが、数百Kgを支える自信が無かったのでやめました。
枠があった方が、精度よく積めるのですが、木枠の裏側のメジが押さえられないという作業性の悪さがありました。

壁面完成

壁面完成

壁面が完成したところです。開口部にはドアを取り付けます。
ドアは、窓の付いていないアルミサッシを用いました。勝手口などに使用するタイプのものです。(これが\25kくらいしたので一番高かった)
ドアの枠をはめた状態で、枠の周りにコンクリートを流し込みましたが、水圧ならぬコンクリートの圧力で隙間ができたり、枠がゆがむ場合があるので、しっかりと固定する必要があります。
後でわかった事ですが、枠の左右が弓型にゆがみ、中央部分が3mm程狭くなってドアが閉まらなくなりました。この問題は、ドアヒンジの調整金具の除去とキャッチ部を一部削ることで解消することができましたが、危ないところでした。
また、ドアは開いた状態で上方にスライドさせる事で容易に取り外せる構造になっていますが、ドアの上部がせり出した設計にすると、扉が干渉してスライド出来ないため取り外せません。このため、扉のつけ外しにはヒンジを取り外さなければなりませんでした。

天井

枠と鉄筋の取付

天井2

打設完了後の天井

天井の打設を行います。厚みは手前が8cm、奥側が7cm。つまり1cm傾斜をつけました。水平だとわずかな凹凸が出来、そこに水が溜りますし、背面側に排水溝があるため、それらを考慮しました。

枠の縁いっぱいになるように打設すれば既定の厚みになるようにしておき、太めの鉄パイプを枠に載せて転がす事で、凸凹がなくなるという寸法です。こちらも大体フラットに仕上げられたと思います。
写真だとわかりにくいですが、角を面取りするためコンパネの上端に面木を張り付けてあります。実際は木製ではなく、樹脂製でコンクリートが張り付かない専用のものを安価に売っています。

天井3

打設後の天井側面

天井4

天井裏面

固まったら枠を取り去ります。2日くらいで固まりますが、強度が出るには1週間程度、そのあとも硬化をを続けます。塗装などをする場合には1ヶ月くらいして中性化してからが良いそうです。

天井のコンパネをはがす際は結構な力で張りついているので、引っ張るための取手をつけておいた方が良いかもしれません。

固めに練ったせいと、空気抜きが甘かったため天井はかなり巣が入ってしまいました。
内側は側面ほどではないですが、本来はもっとつるつるに仕上がるはず。強度は問題ないレベルだと思いますが、残念でした。塗装時にごまかす事にします。奇麗に仕上がっていれば、打ちっぱなしも嫌いではないのですけどね。

シーラー

シーラー

外装塗料

外装塗料

内装塗料

内装塗料

塗装しない状態では、雨水が浸入してしまうし、ブロックの経年劣化も気になるので塗装をすることにしました。
はじめ安易に考えていましたが、塗料にはかなりの種類があり価格も決して安くはありません。調べてみると化学技術の恩恵を最も受けている分野の一つであることに気付かされます。
コンクリートの場合、吸着性や面の調整のための下塗りと、防水防汚のための上塗りに大きく分かれています。
下塗りにはシーラーを塗りますが、主に溶剤の種類によって何種類かに分かれています。劣化した塗面に重ね塗りする場合には注意が必要なようですが、基本的に上塗り塗料により犯されないものを選択します。今回は水性のものを使用しました。
また、ブロックや凹凸の大きな表面には、さらに凹凸を埋めるフィラーと呼ばれるものを塗ります。万が一上塗りでピンホールが残っていた場合、水が浸入して、膨れや剥離が発生します。コンクリートブロックの場合内部に水が溜り安い構造であるため、水の侵入は致命的です。わざと最下段に塗装をせず排水させる方法もあるようですが、屋内に水が侵入する可能性があるので不適切です。しっかりとピンホールを潰しておき、壁の内側には一切水の侵入を許さない構造を目指します。
上塗り塗料は、使用されている樹脂の種類によって大きく寿命が異なります。大雑把には、アクリル系-ウレタン系-フッ素樹脂系があり、後者ほど耐久性が高く価格も高価です。
ホームセンターとかの安い塗料はアクリル系ですが、確かにすぐに退色してしまう気がしますね。
フッ素樹脂系はまだまだ高価であるため、塗り替えにコストがかかるビル塗装など一部の用途にしか使われていません。よって、必然的にアクリル系が選択肢となります。
ペンキ屋さんに相談したところ、屋外用で色も選べるものを紹介してくれました。溶剤である程度粘度を調整できますが、二液混合式のもで基本的に硬化剤を入れたら一定時間で固まってしまうタイプです。
自動車の塗料などもそうですが、2液式のタイプの方が一般的なようですね。耐候性だけでなく、プロの場合重要な硬化時間や匂いなども考慮されているようです。

内側の壁面は外装の残りで塗装できました。床はガレージなどの床面用のもの、天井はアクリル塗料で済ませました。

微弾性フィラー塗布

微弾性フィラー塗布

フィラーは、微弾性フィラーと呼ばれる、メジなどの亀裂が発生した場合に対しても追従性が良いものを選択しました。シーラーの機能を兼ねているものもあるようです。
一般に、前述の写真にあるような、さ骨ローラーと呼ばれるローラーを使って、細かな角が立ったような表面に仕上げます。これで十分な厚みと模様づけができます。羊毛ローラーやハケ塗りすればフラットな表面を演出する事も出来るようです。粘度は溶剤(今回は水)で調整します。

上塗り後

上塗り後

上塗り塗料は硬化時間が決まっているので手早く作業する必要があります。
20Kgを一度に混ぜてしまうと、素人には使い切るのが難しいので、数回に分けたほうがよいでしょう。私は一度に混ぜてしまいましたが、最後のほうは固まりかけてしまいヤバかったです。

コンプレッサーの固定

コンプレッサーの固定

コンプレッサーはコンクリートアンカーを打ち床に固定しました。どうしても振動が伝わってくるので、無音とはいきませんが、完成後は運転中の騒音が85dB程度になりました。一応、足を防振ゴムではさんでみましたが、あまり効き目がないようです。
電源は背面に設置した60mmφのVP管を通して、配線してあります。エアタンクの水貫用のドレインもホースを取り付けて外部に出しました。

完成

完成

最後に、製作にあたってははたぞう氏、アキモヤン氏に多大なるご支援を頂きました。ありがとうございました。