CANON D30フォーカッシングスクリーン交換

FM3A K3 Screen

FM3A K3 Screen

CANONのフォーカッシングスクリーンはピントの山が見づらいということで、あまり評判が良くありません。
AFを使うのが当たり前になっていますが、実際にどこにピントが合ったのかを目視で確認した方が精神衛生上良いです。D30はAFがそもそも甘いですし、薄暗いと機能しなくなってしまうので、余計に必要性を感じますね。
というわけで、これを改善するためにスクリーンを交換してみました。D30は基本的には交換不可であり、社外のスクリーンも出ていない(5Dや1Dなどの比較的高価なモデルは3rdパーティー製のものもある)ようですが、交換方法自体は他の一眼レフとなんら変わりません。
D30はAPSサイズなので、スクリーン自体も小さく、大きさ的には35mmフルサイズのカメラのスクリーンを切り出すことで流用が可能です。ただし、フルサイズのスクリーンの場合には厚みもあるので、厚すぎる場合には使えません。
今回選択したのはNikon FM3A用のものです。価格は2500円程度ですので、気楽な気持ちで試せます。
スクリーン

スクリーン

カバー

カバー

純正スクリーン

純正スクリーン

ではスクリーンを外してみましょう。ボディをさかさまにして、マウントの中をのぞくと、スクリーンとそのカバーについているタブを見ることが出来ます。
このタブをミラーの側に少し押すと、カバーを取り外すことが出来ます。
スクリーンには幾つか突起がついているので、これをピンセットでつまんで取り出します。
その下に、スクリーンの奥行き調整用の真鍮製のスペーサーが入っていますので、これも取り出します。
切り取り

切り取り

完成品

完成品

切り取りに先立ち、新しいスクリーンは両面をメンディングテープで保護します。
そのうえから、純正のスクリーンか、スペーサーを型どりし、メンデイングテープ上に写し取ります。
これにあわせて糸鋸やPカッターなどで切り取ります。ダンボールなどで挟んで万力に固定すると作業性が良いです。最後はやすりで仕上げて完成です。
実際には、純正の形を忠実に写し取る必要は無く、完成品の写真にあるような形で十分です。
テープをはがす前にボディに納めてみて、干渉なく奥まで入ることを確認しておきましょう。
ちなみに、ツルツルに見える面が手前側になります。こちらが像を結ぶ面ですので、傷をつけないよう特に注意してください。
左右の切り欠きは本来は若干幅が異なりますが、同じにしてしまっても遊びが多くなるだけで、取り付け時に真ん中でとめれば差し支えは無いです。

テープをはがしたら、中性洗剤で洗って流水で流し、エアで水分を飛ばせば完成です。
綿棒などを用いアルコールで拭く方法も試しましたが、デブリが出るので洗う方が良いです。

ここで、単に組み込んだだけではスクリーンの厚みが異なりますから、ピントが合わず、スペーサーの厚みを変えて調整を繰り返す必要があります。最初に厚すぎるとダメといったのはこのためです。薄い分にはスペーサーで調整できるわけです。
スペーサーの厚みは、次の式で求められます。
純正スクリーンの厚み + 純正スペーサーの厚み - 新しいスクリーンの厚み
ノギスなどで測れば、0.1mm程度の誤差で求めることが出来るはずです。大抵の場合は、これで十分ピントが適正な範囲に入ります。調整が不十分な場合は、AFとMFでのピントのズレや撮影した画像をみながら厚みを調整します。
さて、D30とFM3A用のスクリーンの組み合わせの場合はというと、0.1mmほどFM3A用のほうが厚く、使えないかと思いましたが、なんと無調整(スペーサー無し)で問題なく使えました。
一番面倒な調整が不要ということで、このスクリーンは非常にお勧めといえますね。

前ピンの状態

前ピンの状態

ピントがあっている状態

ピントが合っている状態

FM3A K3 Screenを組み込んだD30のファインダーの画像です。ピントの山の取り易さは画像ではわかりにくいですが、マット部のボケ方が急峻になっており、CANON純正よりは改善しています。また、ファインダーの見た目が、実際の映像に近くなったのは良いですね。
マイクロスプリットプリズムの効果は絶大で、ピントの山を探すことなく、合った瞬間にピタッととめることが出来るので、使っていて楽しくなります。
強いて言えば、中心部分を切り出しているためマイクロスプリットプリズムが相対的に大きく、小さな被写体を撮影する場合には邪魔になるかもしれません。
FM3AにはB3スクリーンという全面マットのものがあるので、これと交換しながら使おうかと思っています。