SW20ダイレクトイグニッション化計画

アイドリングが不安定となったため、調べたところ、どうやらディストリビューターの消耗が原因のようであった。十数万Kmも走行しているので、さすがに寿命といったところか。
キャップ側の電極がだいぶ減っていたので、これは交換する以外ない状況であった。ローターとキャップの交換で、一万円強のコストとなる。
1UZ-FE用のイグナイタが安く手に入ったので、ダイレクトイグニッション化を試みた。

純正

1S-G用のイグナイタ

1UZ-FE用

1UZ-FEのイグナイタ

1S-G用と、1UZ-FE用のそれぞれのP/Nは89621-16020と90919-02228になります。
純正のイグナイタは、4気筒分のスパークを発生させ、ディストリビューターで各気筒に分配している。ECUからはクランク2回転あたり4回のの信号が来るわけで、ダイレクトイグニッションにする場合、本来であればクランク角センサーから信号をもらって、気筒ごとの判別をしなければならないが、恐らく1気筒4回点火しても、本来のタイミング以外のタイミングでは燃焼しないから、そのまま並列に接続してみる事にした。
イグナイタの能力としては、1KHz程度(15000rpmに相当する)まで入力して試したが、問題なく点火火花を発生したので、常温では問題はないようだ。
夏場のサーキット走行などでは、エンジンルーム内は高温となるため、そのような状況下で十分な能力が維持できるかどうかが危惧される。問題が起きるようであればグループ点火は改める必要があるだろう。

1S-G用ピンアサイン

1S-G用ピンアサイン

1UZ-FE用ピンアサイン

1UZ-FE用ピンアサイン

それぞれのピンアサインを示します。1S-G用はコイルとイグナイタが分かれており、C端子がコイルに接続されます。また、GND端子は無く、ボディがGNDとなっています。
EXT端子は、良くわかりませんが、外部のタコメーターなどに利用されるようです。

89621-16020

1S-G用のIGF

90919-02228

1UZ-FE用のIGF

また、調査の結果、イグナイタからECUには点火確認信号(IGF)が戻されている事がわかった。この信号が戻されないと、燃料カットが入ってエンジンが停止するようだ。
これは純正のイグナイタと、1UZ-FE用の信号をオシロスコープで調べた結果を図にしたものです。IGTは点火信号です。
純正のIGFは、概ね0.2msecから1msec程度の遅れを持ってHiになっており、タイミングは回転数に依存するようだ。また、点火信号のOFFでリセットされ、定常状態ではLowになっていた。コイルの逆起電力を元に作られているそうで、波形は髭がありなまっていて綺麗とはいえない。
一方、1UZ-FE用の方は常に0.2msecの遅れを持って、Lowパルスが出力されるようになっており、定常時はハイインピーダンス状態で、コンピュータ側でプルアップされてHiになっていた。IGFを並列にすること自体は問題なさそうだ。
測定結果からわかるように、両者にはかなり大きな違いがある。コンピューター側のチェックが厳格だと問題が起きそうだ。ただし、立上がりが大体似通った位置に来ているので、立ち上がりを検出しているのであればうまく動くかもしれない。
また、ネットで調べた限りでは、数回IGTが入らないと燃料カットするようなので、タイミング変わってしまってもパルスさえ出ていれば問題ないようにも思えます。

テストの模様

テストの模様

コンピューター側の詳細な仕様はわからないので、実際に接続して試す事にする。
まずは、単純に純正のイグナイタと1UZ-FE用1気筒分を置き換えてみた。特に問題なく始動することが出来た。
実際には4台並列に接続することになるが、タイミング的には問題は無さそうだ。

分解図

プラグコード分解図

SW20の1S-Gはヘッドの上にインマニのパイピングが来ているため、イグナイタからプラグへの接続部はインマニの上まで延長する必要がある。
ヘッドカバーからプラグへ至る部分は、純正のプラグコードを加工して利用することにする。
プラグコードは分解すると写真のようになっているが、芯線の接続が困難であるためケーブルは5D2V同軸に交換した。

パーツ

作成したパーツ

組み立て後

組み立て後

プラグ側は外皮をかしめ接続。イグナイタ側は端子の中心に穴をあけて、芯線をはんだ付けしました。芯線と外皮は半田付けで接続。
ケーブルの抵抗が無くなってしまう為、外皮をグランドに落としてノイズ対策した方が良いかなとも思いましたが、十分な耐圧を確保しつつ、グランド線を外に出すとなると、またひと手間かかるので止めました。不具合が出るようなら考える事にしましょう。
延長部分は、塩ビパイプを利用した、内径16mmのパイプがぴったりでです。塩ビパイプは耐熱性に問題があるかもしれないので、HT管と呼ばれる耐熱のタイプを使用したかったが、近場で入手できなかったため汎用品で代用した。
塩ビパイプ内は組み立てた後シリコン樹脂でモールドしてみたが、隙間なく充填することは出来なかったと思う。まあ、ケーブルが動かなければ良いでしょう。

ハーネスとステー

ハーネスとステー

次は配線です。イグナイタのコネクタは取り寄せようと思いましたが、なんと単品では出ないそうで、ハーネス丸ごと買うのもアホらしいので、直結する事にしました。小型のファストン端子が丁度合ったので、これで配線してみます。
車体側は純正のイグナイタをバラし、コネクタ部分を加工して利用しました。
接続部は何れも防塵・防水のためシリコン樹脂でシーリングを施します。
イグナイターはアルミバーを加工して作成したステーに固定します。ステーはインマニにボルトで固定できるようにしました。

完成

完成

ハーネスはスパイラルチューブでまとめると、なんとなくそれらしくなりました。これでしばらく運用して様子を見てみようと思います。