SW20ダイレクトイグニッション化計画 3期

7,8年問題なく運用できていたが、たまに失火する症状が出ていたので、この機会にイグナイタを新品に交換し、取れ付けステーもしっかりしたものに作り直した。

イグナイターの取付

タペットカバー
タペットカバーの加工

用意したイグナイタは90080-19015で、アルテッツァやMR2の5型の3Sエンジン用の部品となる。いわば純正品への交換となるが、残念ながらヘッドが異なるためそのままでは取り付けができない。
挿入部の長さは同一(タペットカバー上面は同じ高さのようだ)であることを確認していたので、あとは固定がうまくいけばOKだ。
というわけで、タペットカバーを加工することにする。肉厚が薄く直接ねじを切る事は出来ないため、溶接か、ボルトによる締結になるが、鋳物の溶接はあまり行いたくなかったため、ボルトで締結する方針とした。
2か所は貫通穴を開けて2本のボルトでステーを固定したが、2か所は裏側のリブやパッキンの位置に干渉して都合が悪かったので、タペットカバーの取り付けねじと共締めとした。

ピンアサイン
ピンアサイン
取付
イグナイタ取付

次にハーネスであるが、社外のコネクタのみを入手できたので、全て作り直すことにする。電源系は16AWG、信号線はもっと細くてもいいのだが、圧着端子のサイズの関係で18AWGとした。
ピンアサインは車両側コネクタを後ろから見て、写真の通りとなる。先に取り付けていた1JZ-FE用のものと同じだ。

取り付けステーに、アース線やハーネス固定用のネジも併せて切っておいたので、良い感じにまとまったと思う。エンジンの上にインマニが載っていて自由な方向には配線は出せないので、1番気筒だけ異なる角度に設置しているのがポイント。

LEDインジケータの取付

動作中の様子
LEDが外部から確認できなかったが、ECUのケースに穴をあけて確認できるように加工した。基板はそのまま使いたかったので、LEDの光をプラスチックファイバで導いている。家に転がっていたオーディオ用の光ファイバを使用した。
固定は、ゴムの板を貼り付け、貫通穴をあけてファイバーの切れ端を通してある。隣接するファイバに光が漏れないか心配だったが、上手くいったようだ。

失火原因の調査と対策

失火の症状は、特にアイドリング時に出ていたが、どうやらイグナイタや自作回路側の問題ではないようだ。
発生の契機となったのは、経年劣化によりクランク角センサの出力電圧が下がったことによるものようだった。電磁ピックアップの場合、エンジンが温まるとコイルの抵抗が増えて、コイルの出力電圧が半分程度まで低下する。また、低回転時の方が出力電圧は低くなるため、温間のアイドリング時はもっとも悪条件となる。この下限電圧が、自作回路のG1信号入力のスレッショルドレベルを下回るようになり、グループ点火に切り替わっていた。グループ点火で失火する要因は調べていないが、バッテリーの劣化やイグナイターの個体差の影響があるかもしれない。グループ点火はあくまで非常用であり、自走できていたのはこの機能のおかげなので、まぁ良しとしよう。
始動時
始動時
始動直後
始動直後
何れにせよ、G1が拾えないのはおかしいのでこちらをFixする必要がある。
改めて、始動時と、始動時と始動後のセンサー波形を取得した。低回転時に出力が無いなど、特にセンサー出力に異常は無いようだ。
冷間
冷間
温間
温間
暖機前後後の点火信号とG1出力について確認する。
確かに、始めに回路を設計した時に比べると、若干G1の出力電圧は下がっていた。クランク角センサーが結構さびてきていたので、リビルド品に交換(新品は生産終了している)してみたが、リビルド品も大して変わらない電圧で、むしろG2に関してはより低い電圧となっていた。
ECUからは始動時も点火信号が出ているし、エラーの検出もないようなので、この程度の電圧低下は織り込み済みに思えた。
閾値を下げる必要がありそうだが、既に3.6V程に設定されていて、これ以上上げることは出来ないはず。(PICの入力は5Vのバイアスを掛け、5Vからどれだけ下がったかで判定している)
それに、4Vp-pあれば下限は3V近く下がるはず。計算が合わない・・・
G1のPICへの入力と、プログラムを調べてみたところ、以下の2点の問題が見つかった。コンデンサの交換のみでは改善しなかったので、主にプログラムのバグの影響が大きかった模様。

車両側コネクタの交換

IGコネクタ
車両側コネクタ

今回、放置していた車両側のイグナイタコネクタも4Pコネクタに交換した。一応矢崎の自動車用コネクタ4P090WP-TS-DGR-F-trおよび、4P090WP-TS-DGR-M-trを使用したが、防水コネクタであればなんでもよいと思う。

配線する必要があるのは、B+, IGF, EXT端子だ。IGTはECU内から直接貰っているので、もはや必要ではない。EXT端子はタコメータに接続されており、前回までの改造で12VにPull-upしておき、IGTに合わせてGNDに落とす回路を追加していたが、IGFの出力をそのままEXTにも与えるように変更し、メーター側を3.3Vp-p仕様に変更することとした。タコメーターの改造についてはこちら

プログラム、実装データ

DS PCB CADデータ
Microchip MPLAB X IDEプロジェクト