ファンモーターオーバーホール

友人のE39Aギャランのラジエターファンが回らなくなったとの事で、交換を行う機会があったので、壊れた方を分解して直してみました。
三菱型番はMB605115、MB605116が該当します。DENSO型番は162500-7310です。新品を買った場合13k円以上します。
非分解式とされており、内部の部品も出ないようですが、比較的簡単に直す事が出来ましたのでレポートします。

分解時

分解時の状態

障害時、全く回らないわけではなく、回らない場合は手で回してやると回りだすという症状であった、ブラシの接触不良が疑われる。また、回っている状態で回転面を下に向けると止まってしまう状況だったので、ベアリングのフリクションが増えている可能性がありました。
モーター底面の蓋のかしめを起すと容易に分解することができた。
開けてみると、ブラシが磨滅しており、その粉塵が大量に溜まっている状況であった。なるほど、これは回転を妨げるわけだ。

コイル

コイル

コイルの電極も結構減ってはいたが、まあ後半分くらいの厚みはあるので、まだまだ使えるでしょう。
右側がフィンがつく側で、軸受にはボールベアリングが使われている。フェライトの輪っ者みたいなのが入っているが、これは何の意味があるのかよくわからない。
左側(後ろ側)の軸受は同じくフェライトのような材質でベアリングは使われていない。
これで軸が摩耗しないのかなぁと思ったが、実際軸には殆ど摩耗が無かった。
あまり大きな力がかかるところではないし、ブラシの粉塵が潤滑の役割をするのかもしれない。

フロントベアリング抜き取り

フロントベアリングの抜取

フロントベアリング

ベアリングとカバー

日本精工 608Z

新品のベアリング


フロントベアリングは、圧入されているが、外側から軽くたたくと外す事が出来ます。後述のとおり、ダストカバーの様なものが取り付けられているが、ベアリングを押しこめば一緒に外れます。 ベアリングはNSK 608Zと刻印があり、汎用ベアリングだったので、同型のものを購入した。
ブラシ(加工前)

ブラシ(加工前)

ブラシ(加工後)

ブラシ(加工後)

ブラシの取り付け

ブラシの取り付け

ブラシは、汎用品を探しましたが同一形状はおろか、同一断面積(7x10mm)のものも入手する事ができませんでした。
仕方が無いので、高速切断機やディスクグラインダー用のものを加工して利用する事にしました。購入したのはMITACHI CB1006です。断面積は7x11mmで、このサイズは比較的ポピュラーらしく、数モデルで使用されているようです。
ブラシの材質は軟らかいので、削るのは簡単です。リード線の取り付け位置が異なりますが、その辺りは適当に処理します。
配線は圧着されていましたが、それほど大きな電流が流れるところではないので、半田付けしました。

ベアリング取付

ベアリング取付

タガネの代わり

タガネの代わり

カバー取付後

カバー取付後

ベアリング自体の取り付けは、内側から軽くたたき込めば良いです。
ベアリングの上にダストカバーの様なものが取り付けられており、これは外周が6か所ほどタガネで起して外れないようにしてあり、これが非分解式のゆえんかもしれません。ベアリングはともかくブラシくらい交換できるようにしてくれてもよいと思いますが・・・
さて、このカバーについては、外す時に外から押し込んだので、3か所位は爪が生きているとおもいます。これはできるだけそのまま利用し、はめ込みます。
折れてしまった爪は、タガネで修正します。うちにはタガネは無かったので、不用なドリル刃を写真のように加工して使用しました。もう少し細いほうがやりやすいと思います。
既に最初に取り付けた際の溝ができているので、そこに当てがって金槌で叩けば比較的容易に作ることができます。

あとはコイルを挿入し蓋を閉めれば完了です。これでまた10万km位使えるでしょう。使う人がいればですが(笑)